乳癌検診応援ブログ
諦めない女性を 外科医 高橋 保正
が応援します

あきらめの医療。

2009年11月26日
440PV

何か知識を得ると、また新たな疑問や不安が生まれてくるものです。

<ご質問>
術前化学療法は良いのか、悪いのか?
<お答え>
術前化学療法の明らかなメリットは、しこりが大きいために乳房温存手術ができない人が、化学療法によりしこりが小さくなった場合に、乳房温存手術が可能になることがあるという点です。
がんがかなり広範に広がっていて、しこりが小さくなっても乳房温存手術が行えない人や、
もともと乳房温存手術が可能な人に対する術前化学療法のメリットは明らかではありません。
また、抗がん剤が効かない人が10~20%いるため、このような人は効果がないと判断した時点で別の抗がん剤に変更したり、手術を早めに行ったりなど、治療方法を変更することができます。
術前化学療法のデメリットは、
針生検などの限られた標本で病理診断をおこなうため、もともとの病理組織学的特徴がわかりにくいという点です。
そのために治療法の選択が難しくなる場合があることが挙げられます。
また、術後化学療法と比較して、温存乳房内再発率が高くなる可能性があります。
“患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2009年版” 日本乳癌学会編
金原出版株式会社 より抜粋引用

乳房温存療法の可能性にかけて、術前化学療法をおこなうこと。
これは選択肢として正しいと思います。
ただし、その利点(メリット)と欠点(デメリット)を良く吟味し決定しなければ、後悔につながる可能性があります。
術前化学療法の目的のもう一つは、薬の効果を判定できるということです。
どの薬剤が効果があるのかを、実際に腫瘍の大きさを確認しながら経過をみていくことができるのです。
しかし、効果がないことを実感することになる場合もあります。
約半年間続く術前抗がん剤治療。
その効果を確認してから手術を受けるか。
がん組織をできるだけ早い内に体から摘出してしまうか。
決定権は患者様、御家族様にあります。
今日は院内緩和ケア勉強会です。
外部の大学病院の大学院生の方々も参加してくださいます。
緩和ケアは、
がんについて、
抗がん剤について、
ホルモン治療について、
放射線治療について、
手術について、
痛みの治療について、
精神科領域のこと、
など、あらゆることを頭の中に入れておかないといけません。
緩和ケアは攻めの医療なんですよ。
決してあきらめの医療なんかではありません。
患者様の苦しみや寂しさや不安を、
積極的に取り除いていく治療が緩和ケアなのです。
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少しずつ皆様のお役に立てるブログにしていきたい、
と思っていますからね。
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