乳癌検診応援ブログ
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ラパチニブ(商品名:タイカーブ)  乳がんの分子標的治療 その4

2008年09月20日
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病院職員の方から、タイカーブについてのご質問があったのでお伝えします。タイカーブは日本では未承認の薬です。ですから、いまは個人輸入して内服している方がいらっしゃいます。
ラパチニブ(商品名:タイカーブ)の世界での評価はどうなのでしょうか。

ラパチニブはHER1とHER2のチロシンキナーゼ阻害薬として開発された。臨床的に有効性が証明されたのはHER2陽性乳がんに対する効果である。
ラパチニブは小分子化合物であるので安定性があり内服が可能である。
米国ではカペシタビンとの併用が承認された。日本では承認申請中である。
化学療法との併用は転移乳がんにおいて証明された。
カペシタビンとラパチニブ併用とカペシタビン単独を比較した結果、併用群において奏効率(22 vs 14%)が向上し、無進行期間が約2倍(8.4 vs 4.4ヶ月)に有意に延長した。
HER2陽性早期乳がんに対する術後療法としての有用性はグローバル臨床試験が進行中である。ALTTO(Adjuvant Lapatinib and/or Trastuzumab Treatment Optimisation)が行われている。
また、ラパチニブは化学療法薬が無効であった脳転移に有効性が証明された。カペシタビンとの併用試験において、脳転移再発はカペシタビン単独投与群に比較してラパチニブ併用群で少ない傾向を認め、ラパチニブの脳転移抑制効果が示唆された。
放射線治療耐性脳転移にたいするラパチニブの第二相試験の結果は50%以上の体積減少(PR)を8%(19/241)に認め、カペシタビンとラパチニブの併用ではPR20%(8/40)を認めた。
ラパチニブの毒性は下痢17%、発疹9%、嘔気16%、疲労16%と軽度であった。」
癌研有明病院化学療法科乳癌担当部長 伊藤良則先生
日本医師会雑誌 第137巻 第4号 2008年7月 より引用

次々と分子標的治療薬が開発され、試験が行われていますね。
グローバル臨床試験の結果がどのようにでてくるかが気になります。
最先端情報を常に入手している方はラパチニブを個人輸入しているかたもいらっしゃるので、日本でも早期に承認されることが望まれます。
昨日の「川崎緩和医療懇話会」はたくさんの方がたくさんの病院から集まって大盛況のうちに終了いたしました。
緊張しながらも無事にわたしの講演も終了し、市立秋田総合病院の橋爪 隆弘先生の御講演も涙とほほえみの中終了しました。
参加者の皆様にもとても心に残る勉強会だったと思います。
みなさまお疲れ様でした。ありがとうございました。
たくさんの医療従事者ががん患者様ご本人、そしてご家族のことを真剣に考えていることが伝わってきました。
このブログをごらんの皆様。
あなたの味方はたくさんいますよ。
決してひとりでかかえこまずに、悩みや不安はどんどんわたしたちにぶつけてください。
わたしたちは、チームであなたを支えていきます。
こんな方法があるのか、と道が開けることがたくさんあります。
「どうせ医者に相談してもしょうがない。」
そんな風に思っているかたはいっぱいいらっしゃると思います。
そして、そんな風に思われても仕方がない医者は残念ながら存在します。
でも上手に悩みをお聞きし、解決方法を見つけることが上手な医者も確実にいます。
決してあきらめずに病院、クリニックの扉をたたいてください。
解決できないことは絶対にない!!
わたしもいつもそう思って全力で毎日生きています p(^^)q