乳癌検診応援ブログ
諦めない女性を 外科医 高橋 保正
が応援します

乳腺症についてと、いただいたお手紙について

2008年04月14日
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乳腺症という言葉を耳にする方は多くいらっしゃると思います。
乳腺症は乳腺組織の過形成や嚢胞の変性などの良性病変が混ざってできる乳腺の状態です。30歳以上の女性に多くみられます。これは病気ではなくそういった乳腺の状態のことを指します。
多くの女性が感じる胸の違和感はこの乳腺症が原因のことが多いのです。
症状としては、乳房にしこりを感じたり、痛みや張り感を感じることがあります。また、乳頭から分泌物が出る場合もあります。
原因は、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンのアンバランスで、症状は月経前に強く、月経後に軽くなるのが特徴です。
特に治療は必要ありませんが、がんが隠れている可能性がゼロではないので、乳腺外科での診察が必要です。
乳腺症でもしこりがみつかった場合には、針細胞診や針組織診にて、顕微鏡検査を行い、良性か悪性の確定診断を得ます。
もし、これでも診断がつかない場合には、手術室でしこりを実際に切除して、結果を確認させていただくこともございます。
今日もマンモグラフィーの読影を20人分ぐらい行ってきました。日々、油断することなく丁寧に読影を行っております。
またマンモグラフィーは当院では女性技師さんが行っておりますので、受診された方も安心され大変ご満足いただいております。
わたくしは、川崎幸病院で乳腺および消化器疾患と癌化学療法さらに緩和ケアを中心に担当しております。
先日闘病の末に亡くなられた癌患者様の奥様から、今日お手紙をいただきましたので、ご紹介させていただきます。(一部個人情報があり、抜粋しております。)
「拝啓
長らくご無沙汰いたしました。
夫が癌と告知されてから亡くなるまで、その間「癌」を治したい一心で癌治療に弱音を吐くことなく専念いたしました。
その一方では、先生の「安心して検査、治療が受けられるよう援助していきます。」と書き記された一言がどんなに気持ちを安堵させてくれたことでしょう。
先生には最後まで精一杯の治療をしていただきましたことに深く深く感謝しております。
夫も痛みから解放され、そして感謝の言葉を残し笑顔で未来に向かって旅立ったと今は信じております。
「癌」が一日も早く怖い病でなくなりますよう願っております。
本当にありがとうございました。
                             かしこ」
お手紙をわざわざありがとうございました。
この患者様は、どんなにつらくてもいつも笑顔で、逆に私たちが励まされていたような感じでした。ご冥福をお祈りしております。
これからも癌で苦しむかたが少しでも減りますように、全力で診療にあたって参ります。
また自分は常に患者様を、自分の父、母、おじいさん、おばあさん、あるいは兄弟という気持ちで担当させていただいておりますので、ご相談がございましたらお待ちしています。