乳がんが骨に転移した際におこなう治療についてのご紹介をしましょう。
「近年骨転移の治療法としてビスフォフフォネートが注目されている。
骨転移が発生したあとの合併症(骨関連事象と称し、病的骨折、脊髄圧迫、疼痛増強のための放射線照射、整形外科手術、高カルシウム血症を指す)の頻度が、ビスフォフフォネート投与により明らかに減少することが証明されてきた(Hillner BE et al: J Clin Oncol 19 : 1378-1391, 2000)。
また、単発の骨転移で発見された場合の予後が多発骨転移で発見された場合より良いというデータもある(Koizumi,M et al : Ann of Oncol 14 :1234-1240, 2003)。
早期に骨転移を発見することは、予後を改善する可能性があり、またビスフォフフォネート療法を早期に開始し、骨合併症(骨関連事象)を減少させることによりQOLを良くすることが可能であると考えられる。
<遠隔転移の診断 ―骨― 小泉 満先生 (癌研有明病院 核医学科)>
“乳腺外科の要点と盲点” 幕内 雅敏先生監修 霞 富士雄先生編集より抜粋引用」
さて、骨転移を早期に診断することができれば、予後を改善できるとのこと。
それでは、これから乳がんの手術や治療を受ける方は、全員骨転移の検査をしなければいけないのでしょうか。
明日はそのあたりのお話ですよ。
今日は、神奈川県を中心とした乳腺外科の先生方と緩和ケアチームの先生方での合同の勉強会があります。
がん治療を担当している先生方の中で、乳腺外科の先生方が最も緩和ケアの重要性そしてチーム医療の重要性を認識していると思います。
なぜなら、女性がほとんどをしめる乳がんという病気には特殊性があるからです。
すなわち、
育児の真っ最中という40歳代周辺の女性に多く発症する。
治療には乳房切除という選択肢があり、治療において喪失感を感じる方が多くいらっしゃる。
また抗がん剤では脱毛という、やはり女性には外見上つらい副作用がある。
そして骨の転移があると痛みが起きてくる。
といったことです。
緩和医療は、
精神的苦痛
身体的苦痛
社会的苦痛
霊的苦痛(スピリチュアルペインとよびます)
これらを緩和することが目標です。
これらをまとめてトータルペインと呼びます。
今日は、チームでトータルペインを解決する方法をみんなで議論してきますね。
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