転移再発乳がんでアンスロサイクリンあるいはタキサンによる一次および二次化学療法で増悪した場合に、どのような治療が有用であるのかというお話です。
「カペシタビン単剤での奏効率はいくつかの第二相試験では15-28%であり、5-FU耐性やタキサン耐性においても効果が見られた。
タキサンを含む二次ないし三次化学療法が施行された74人の転移・再発乳がんに対するカペシタビンの第二相試験では、奏効率26%、生存期間12.2ヶ月、奏効期間8.3ヶ月、TTP(病勢進行までの期間)は3.2ヶ月であった。
またアンスラサイクリンおよびタキサン前治療歴のある126人の第二相試験ではTTP4.9ヶ月、奏効率28%、生存期間は15.2ヶ月であった。
以上より、転移・再発乳がんに対する三次化学療法として、カペシタビンは有用である可能性がある。
しかしこれは第二相試験の結果からの推測である。」
乳癌診療ガイドライン 薬物療法 2007より引用
カペシタビンの特徴的な副作用として手足症候群(Hand foot syndrome)があります。
これは内服を初めて2週間の間に手足にぴりぴりした症状が出始める方が多く、わかりやすく分類すると
グレード1 手足に痛みなし、発赤やしびれあり
グレード2 皮がむけたりしながら痛みを感じる
グレード3 日常生活に支障が出るほど、痛くて手足の皮がむけている。
このように分類されています。
このグレード2以上の症状がでたら、カペシタビンを一度お休みしたり、延期したりして改善をまちます。
手足症候群を早急に治す特効薬はまだないので、症状がでたら内服をお休みして主治医に相談することが重要です。
今日は東京でカペシタビンに関する勉強会があり、このような内容を教わってまいりました。
こちらのブログでは、今日学ぶことのできた最先端の医療のお話や、少しでも多くの方に乳がんの基本について学んでいただくことができたらと考えて引用する基本的な内容を、復習のために盛り込んでいます。
もう知ってるよ、という内容が繰り返しでて来る場合もあると思いますが、それは乳がんについてまだ何もご存じない方が、急に乳がんとの告知を受ける、その日のためにお役に立てればとブログを続けているのです。
乳がんの知識の深い方には、物足りなさを感じることもあるかもしれませんが、またその際にはみなさまの御指導・アドバイスをよろしくお願いいたします。